こんにちは!
剣道ジャーナル編集長の酒田です。
皆さんは「見取り稽古」という言葉を知っていますか?
見取り稽古とは他の人の稽古や試合を見てその技術について学ぶことをいいます。
怪我や病気でなかなか面をつけるのが難しいときに限らず、普段の稽古においても見取り稽古を行うことは可能です。
今回は「見取り稽古」のメリットと、効果的な方法について解説していきます。
見取り稽古のメリット
見取り稽古を行うことによってさまざまなメリットがあります。具体的にいうと以下のとおりです。
良いイメージを焼き付けることができる。
上手な人の構え、攻め、打突、足さばきを視覚的にとらえることによって「理想像」として脳に残ります。その「理想像」を真似ることによって動きを近づけることができます。
また、言葉だけでは理解できなかったことについても、視覚的にとらえることによって「ああ、こういうことか」と腑に落ちる瞬間があります。
見て覚えるからこそ、理想の剣道が身体に落ちてきます。
反面教師になることもある
打たれた場面やミスした場面を見ることによって「こうなると打たれてしまうんだな」「こうなると打てないんだな」ということを学ぶことができます。
打たれる場面については必ず理由がありますのでそこを分析し、「自分は同じことをしない」と意識することによって技術を高めることができます。
頭の中で「稽古の復習」ができる
他の人の稽古を見ながら、「自分ならどうするか」を考えることによって、稽古の効果をより高めることができます。
客観と主観を使い分けることによって、対応力を向上することができます。
疲れていてもできる稽古
「怪我をした」「順番待ち」「見学日」といった、稽古をしていない時間をきちんと学びにかえることができます。
稽古の中の隙間時間も考えることによって、稽古の効率を高めることができます。
子供にも効果がある
子供には言葉で説明するより見て真似させることによって、子供の動きがどんどん良くなります。
言葉だけの説明ではなかなか伝わらないことも、動きを見せることでよりイメージを持たせることができます。
自分の「剣道観」が育つ
いろんな立ち合いを見ることによって「自分はどんな剣道をしたいのか」がみえてきます。
技術だけではなく、姿勢や間をどうするかを学ぶことができます。
効果的な見取り稽古
有効な見取り稽古ですが、ただ見ているだけでは上達することができません。見取り稽古の効果をあげるためには以下の点を意識することが重要です。
打った打たれただけを意識しない
打った、打たれたといういわゆる「結果」だけを意識してしまうと、効果的な見取り稽古にはなりません。
その前の「攻めはどうか」「相手の体制はどうなってるのか」という過程と結果がどう繋がっているかを意識することが大切です。
「良いところ」と「悪いところ」を分けて考える
人の剣道には必ず「良いところ」と「悪いところ」が存在します。全体的にふわっと見てしまうとなにも学ぶことができず終わってしまいます。
「良いところ」をマネして、「悪いところ」をマネしないように意識するためにもしっかり分けてみるようにしましょう。
まとめ
見取り稽古はすごく効果的な稽古ではありますが、とても効果を得るにはとても難しい稽古でもあります。
稽古を効果的にするためにも「打突の過程」を意識して、「良いところと悪いところを分けて」考えてみましょう。
編集後記
剣道って「フィジカル」と「頭脳」の二つの側面で成り立っていると思ってます。
怪我で「フィジカル」の部分が鍛えられなくても、焦る必要はありません。頭脳の部分を鍛えることでも強くなることができます。
いったん身体を休めて、その分頭をフル活用してみるのはいかがでしょうか?
文・酒田マードック
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